2025.10.05

クラウゼヴィッツ「戦争論」より

弁護士 西村 幸三

クラウゼヴィッツは、ナポレオンに敗れ去ったプロイセン王国の再建を担ったドイツの軍人である。

「戦争論」は、後のドイツ参謀本部の理論的支柱となって、参謀総長モルトケにより普墺戦争・普仏戦争の圧勝をもたらしたとされる。

「戦争とは、敵を強制してわれわれの意志を遂行させるために用いられる暴力行為である」と戦争を定義したことで有名である。

戦争が合目的的な要素と非合理的な要素が混在していることを分析し、戦略は数学的・地理的な要素から精神的な要素までが構成要素として重要であること、さらには戦術や戦争計画の立案についても分析的に説いた。

プロイセン・ドイツは、ナポレオン戦役下で軍制改革を果たしたあと、宰相ビスマルク・参謀総長モルトケのもとで、戦争目的を合目的的に把握して遂行し、普墺戦争・普仏戦争の勝利及びドイツ帝国建設後の約40数年間、フランスの孤立のもと、ヨーロッパ大陸に全く戦火のない平穏をな時代もたらした。

しかし、その後ビスマルクを引退に追い込んだドイツ帝国のヴィルヘルム2世皇帝が非合目的的に国際政治をもてあそんだことによって、ドイツの孤立がたちまち進行し、第一次世界大戦へとヨーロッパはなだれ込んでいった。

 

「知識は能力となっていなければならない」

 

「古来、卓越した将帥は、博学多識な者からは生まれることが少ない」

 

「知識という理性を働かすには、その前に勇気の感情を喚起しておかねばならない。危険に際しては、理性よりも感情の方が強く人間を支配するからである。」

 

「知識を単純化した人を天才という」

 

「戦争における肉体的労苦の人間に及ぼす影響は甚大で、特にその判断力を鈍らせる。」

 

「可能な限り集中的に行動する」「主要な戦闘を必要とする方面に対してのみ攻撃を、その他の方面に対しては防御を実施することが合理的である」

 

「可能な限り迅速に行動する」「時間の浪費は戦力の消耗である。一度でも停止すると敵に対する有効な攻撃前進を再開することは不可能となる」