ATOKの変換で、ファンクションキーが利かなくなった

ちょっとしたTIPSの紹介である。

PCのキーボードの上に並んでいるファンクションキー、つまりF1~F12キーを、私はよく使う。

特に、ATOKの日本語変換時に駆使する。

文節区切りを1文字短くするのにF2キーを、1文字長くするのにF3キーを、ATOKのカスタマイズ機能を使って、割り付けている。

さらにいえば、F4キーは変換対象の文節を左に移動、F5キーは変換対象の文節を右に移動するように設定している。

変換対象文節の左右移動は、さらに操作方法としてもう一通りできるようにしていて、一番下の段のキーのうち、「無変換」キーで左移動、「変換」キーで右移動という設定もおこなっている。

ちなみに、ATOKの起動(日本語変換ソフト=IMEの起動)は、「変換」キーでON/OFFできるように設定してある。

どこが便利なのか、理解出来ない、という方もいるかもしれないが、実際設定して、しばらく意識して使ってみれば、どれだけ便利かよくわかるので、だまされたと思って一度設定してみられたらよいと思う。

これがなぜ標準キー設定に取り入れられないのかが不思議なくらいである。

「ファンクションキーなんて使わない」「何に使うの?」「ノートパソコンで画面の明るさを変えたり音量を上げ下げするくらい?」、という人も結構いるのではないかと思う。

Windowsになってから、ファンクションキーを使うことはめっきり減った。

最近はファンクションキーの無いコンパクトキーボードも結構存在している。

そんなコンパクトキーボードに対応しようとすれば、アプリケーションがファンクションキーに必須の機能を標準で割り当てることは難しい。

それゆえ、Windowsはファンクションキーを必須のキーと位置づけていない。

私はMS-DOS時代からパソコンを使っている。

MS-DOS時代は、ファンクションキーに日本語変換ソフト=IMEの機能を設定することは当たり前だった。

しかし、Windowsになって、さらにノートパソコンになって、ファンクションキーは、画面の明るさ変更・音量変更・モニター出力先の変更に使うようになった。ただし、最初は、Fnキーと同時にファンクションキーを押すことで、画面の明るさ・音量変更・モニター出力先の変更ができた。

しばらく前、Gatewayのノートパソコンを買って、ATOKをインストールしたところ、ファンクションキーに割り当てた文節移動や文節区切り変更がまったく機能しない、という現象が起きて、しばらく悩んだことがあった。

しばらく熟考し、ネットで調べてみると、あっさり判明した。

BIOS設定であった。

「Function Key Behavior」の項目が、「Multimedia Key (First)」(マルチメディア機能優先)になっていた。

これを「Function Key (First)」(ファンクションキー優先)に変更する。

これによって、画面の明るさ変更・音量変更・モニター出力先の変更は、Fnキーを押しながらファンクションキーを押すように(旧来のように)設定変更される。

旧来のノートパソコンは、画面の明るさ変更・音量変更・モニター出力先の変更といったマルチメディア機能は、Fnキーを押しながらファンクションキーを押すのが普通だった。

それが、最近のGatewayのノートパソコンでは、Fnキーを押さなくてファンクションキーを押しただけで、マルチメディア機能が呼び出せるわけだが、かえって、ファンクションキーを頻繁にIMEなどで使うユーザーには、混乱を引き起こしているわけである。

ネットで調べてみると、DELLのノートパソコンも、同様にマルチメディア機能優先になっているものがあるようである。

ポイントに気付いて調べれば簡単な話であったが、私も気付くまで少し時間がかかった。

インターネット検索しても、キーワードが思いつきにくいので、意外と情報にたどり着きにくい。

つまり、PCのリテラシーが上級者レベルでないと、ATOKでファンクションキーがなぜまともに動かないか、原因を調べるきっかけもわからないわけである。

昔のノートパソコンどおり使いたければBIOS設定が必要、というのも、いかにも初心者無用でハードルが高い。

DELLやGatewayのユーザーサポートセンターは、問い合わせがきたら、初心者にBIOS設定の変更を案内しているのだろうか?

しかし、おそらく、ファンクションキーを日本語変換やショートカットで駆使するような人自体が、昨今は極めて少なくなってしまったのかもしれない。

いわば、PCは進化しているが人間は劣化させられているようなものである。

日本語入力の生産性向上のためには、ファンクションキーの駆使や上記の設定は不可欠だろうと思っている。

マイクロソフトの日本語変換ソフト=MS-IMEの変換精度も、もはやATOKに遜色はないのだが、キーカスタマイズ設定の細かさや、設定情報の移行、辞書の移行などで、未だにATOKに遅れをとっている。

というより、ATOKは昔からキーカスタマイズ設定や辞書の移行方法が一貫していてシンプルなので、まるで迷うことがないのである。

マイクロソフトのOSやソフトの標準仕様がころころ変わるものに追従しようとするためのTCOコスト、なれるまでの無駄な時間コストは、現在でも、甚だしいものがある。

複数台数PCを管理し、操作性を統一して生産性を向上させようとするものからすれば、こういったTCOコストの多寡は無視できない。

さすがにワープロソフトに一太郎を使う時代ではないが、日本語変換ソフトとしてATOKが未だに手放せないのは、こうったマイクロソフト製品のユーザービリティが低いが故、TCOコストが高いゆえである。

とりわけ、日本語変換ソフトは手の一部、脳の一部も同然であり、効率的入力は死命線である。

ちなみに、裁判所・弁護士の業界は、現在もなお一太郎がかなり生き残っている。

データファイルが一太郎で届くことが今もある。

だから、私は今も、定期的に一太郎は新バージョンを購入している。

Windowsのバージョンアップで旧バージョンが動かなくなるからである(笑)。

なお、ATOKだけを使いたければ、ATOK Passport というオンラインソフトがジャストシステムのサイトからダウンロードできて、Android、Windows、Mac版、とりまぜ計10台までライセンスできて月286円である。

https://www.justsystems.com/jp/products/atok-passport/

西村幸三

lawfield.com

京都・烏丸三条にある法律事務所を運営。ニュース・法改正・裁判例などから法務トピックを取り上げていきます。